用語集 その5

  • 願箋

何かお願いをするたびに書かなければならない、書類のようなものです。
特別な物品の購入をお願いしるとき(2類に上がった時に2類で買えるもの(ナイロンタオルなど)を買うときとか)、
宗教行事への参加をお願いするとき(個人教誨とかグループ教誨とか)、
特別な発信をするとき(雑誌のアンケートを出すときとか)、
何か通常のルーチンと異なることをするときはいちいち願箋です。

  • 官本

体育館の脇に図書室が設けられているのですが、そこで月に2回、本を借りることができます。
この、図書室で借りて読む本を官本といいます。
(対する自弁書籍は「私本」ということになるとおもうのですが、あまりこちらの言い方はしません)
1回3冊まで。
月に2回借りられるのですが、これでは全く間が持ちません。
結局、勉強とかして暇を潰すしかないという。

  • 個別入浴

通常、集団入浴なのですが、私の場合、ずっと個別入浴でした。
ゲイバレしてるとそういうことになるみたいです。(何もするわけないのに)
作業中、ほかの人より早めに呼ばれ、他工場の人数人と連れ立って、小さいお風呂に連れていかれます。
他は(おそらく)、私と同じくゲイと思われる人、トランスと思われる(通常、入浴中も監視されるんだけど、この人の時だけカーテン閉められたので)の人、車いす使ってる年配の人、など、およそ、集団入浴に入れてしまうと問題があると思われる人です。
ありがたいことに、集団入浴よりは監視が緩かったようです。
何でも、集団の入浴場は浴場内にも番台のようなものがあり、ずっと動作を監視されて注意を受け続けるとのことだったので。
ちな、個別入浴は、時々窓越しにチェックされる程度です。

加古川刑務所内、一般エリアは、1寮~5寮の5つの居室棟があります。
(女区、交通区は行ったことがないのでわかりません)

1寮は独居房で、1階が懲罰房と病棟、2階が出所間際の人用の独居です。
懲罰房がさすがに縁がありませんでしたが、病棟には出たり入ったりしている人がいました。
(体調悪くなっては病棟入りして、一般居室に復帰して、また病棟入りして…っていう)
また、僕自身、出所間際の2週間ほどはここで過ごしました。

2寮は独居房です。
教育期間が終わって、工場に配役された当初はここでした。
何らかの問題(僕の場合は性指向)があって、雑居房に入れられない人用の独居房です。

3寮は雑居房です。
当初、訓練工場配役中、6人用ぐらいのだだっ広い部屋に一人入れられました。
ほとんどの人は、ここでしばらく1~2年ぐらい、ほかの人と一緒に生活することになります。

4寮は独居房です。
ここは、長年(っていっても1~2年)勤めて、問題のなかった人が移ることのできる独居房です。
2寮に比べると、かなりきれいです。
雑居経験者によると、雑居はかなり辛いそうです。
そのため、ここに移るのはかなりのご褒美だとか。
私には、「部屋がきれいになってよかったなー」ぐらいの感想しかないのですが。

5寮は独居房と雑居房が混在しています。
1階が雑居、2・3階が独居だったかな? (1・2階が雑居、3階が独居だったかも)
うちの工場(12工)は縁がなかったのですが、いくつかの工場は、ここの独居・雑居を使うようです。
また、この棟には会議が併設されているので、出所前の教育では、よくここに入ることがありました。

  • 午睡

休日(土日祝など)の午後、13時から15時まで、2時間ほどの仮眠時間があります。
この時間は昼寝をすることができます。
もちろん、寝るなら寝る、起きるなら起きるで、横になりながら本を読むとかは厳禁ですが。

  • 立役

長年(といっても、加古川の場合、おしなべて景気が短いので、3~4ぐらい)勤めていると、立役(たちやく)という、リーダー的役割を担わされます。
工場全体のことに気を配って、新しく入った人に仕事を教えたり、工場内の雑務(昼食の配膳やら食堂の掃除やら…)をしたり、という、なかなか骨の折れそうな仕事です。
報奨金は高くなるし(一般は4等工どまりで、3等工以上になろうとすると、立ち役になる必要があるのです)、ご飯の量は多くなるし、いいことはそれなりにあるんだけど、あんなしんどい仕事、絶対やだ、と思いました。